by admin. ⌚2024年8月3日(土) 08:39:19〔116日前〕 <1763文字> 編集
『異界』。ここではないいずこか、無数に存在し得るといわれる並行世界。
未知の領域を探査すべく選ばれたのは、刑の執行を待つ死刑囚Xであった。
目に見えない命綱だけを頼りに『異界』に飛び込んでいくXと、彼を観察する「私」の実験と対話の日々を綴る連作短編集。
虚構夢想 / SF / ファンタジー / ホラー / 現代
目には見えない命綱ひとつで『異界』へと潜っていく死刑囚X。
今日も「私」はディスプレイを通して彼の視点を共有する。
……時には『異界』を垣間見、時には他愛のない言葉を交わす。
Xと「私」の、特に名前のない日々を綴った短編連作。
虚構夢想 / SF / ファンタジー / ホラー / 現代
『異界』。ここではないいずこか、無数に存在し得るといわれる平行世界。
未知の世界を観測すべく選ばれたのは、刑の執行を待つ死刑囚Xであった。
目に見えない命綱だけを頼りに『異界』に飛び込んでいくXと、彼を観察する「私」の実験と対話の日々、もしくは、三十一の忘れられない道行き。
※綺想編纂館(朧)様( @Fictionarys )の2022年7月の企画『文披31題』の参加作品です。
虚構夢想 / SF / ファンタジー / ホラー / 現代
『異界』。ここではないいずこか、無数に存在し得るといわれる並行世界。
この国の片隅で、未知の世界を知る者たちの『異界』探索プロジェクトが密やかに進んでいた。
プロジェクトメンバーはリーダー、サブリーダー、エンジニア、ドクター、新人の五人、国からの監査官が一人、それから異界潜航サンプルが一人。
そんな少数精鋭のプロジェクトは、今日もつつがなく、あるいは少しの事件とともに進んでいく。
これは、歴史には語られない彼らの、『異界』と彼ら自身にまつわる三十と一の物語。
※綺想編纂館(朧)様( @Fictionarys )の2023年7月の企画『文披31題』の参加作品です。
虚構夢想 / SF / ファンタジー / ホラー / 現代
『異界』。ここではないいずこか、無数に存在し得るといわれる並行世界。
本来「あり得ざる」それを観測する異界研究者たちは、今日もそれぞれの姿勢で『異界』と向き合っている。
『無名夜行』番外編、最初の異界潜航サンプルXが去った後の、プロジェクトメンバーたちの「残響」を描いた連作。
虚構夢想 / SF / ファンタジー / ホラー / 現代
全てが「霧」から生まれいずる世界にて。
世界の最西端、辺境の地で燻っていた「俺」……最強最速の翅翼艇『エアリエル』を駆る「救国の英雄」ゲイル・ウインドワードは、遠い日に目指した「青空」の色を持つ人工霧航士、セレスティアと出会う。
新たな相棒との日々と迫りくる過去、そして霧の向こうの「青空」とは。
真と偽の果て、青空目掛けて霧裂く空戦SFファンタジー。
霧世界報告 / ファンタジー / SF / 空戦 / 異世界
ここではない世界。万物の根源が「霧」である世界。
女王国首都の雑誌社に所属するネイト・ソレイルは、今日も怠惰で奇矯な作家カーム・リーワードの首根っこを引っ掴んで仕事をさせる。
そうでないと、きっと、誰の手も届かないどこかに行ってしまうから。大事なことを、全部、全部、取り落としてしまうから。
女神歴九六九年、帝国との戦争が終わって五年。
これは、落ち着きのない作家先生と、そんな先生を追う新米担当編集者の他愛のない日常の物語。
霧世界報告 / ファンタジー / SF / 日常 / 異世界
「ごきげんよう、叔父さま」
霧深き女王国の果ての果て、雨の止まない土地にて。
監獄塔『雨の塔』の面会室で「私」が出会ったのは、姪を名乗る少女アレクシア。
彼女は完璧な笑みを浮かべて言う。
「叔父さまの知恵を借りたい」――と。
犯罪者の「私」と面会者のアレクシア。
本来なら交わるはずのない二人による、安楽椅子探偵ミステリもどき。
霧世界報告 / ミステリ / ファンタジー / ふしぎ / 異世界
ノンシリーズものの短めなお話をまとめています。
ジャンルは話ごとにファンタジー中心にSF、現代、メタフィクション風など雑多。気が向いたら増えます。
SF / ファンタジー / ホラー / コメディなど
時計うさぎの不在証明 / 甘味組曲 / さよなきどりはなかない /
by admin. ⌚2024年8月3日(土) 08:39:19〔116日前〕 <1763文字> 編集
[End of File] - A_Curtiss_Record-1039 Closed...
「お疲れさまでした、Administrator。以上がミシェル・ロード殺害事件の全記録です」
「本当に、ミシェル・ロードはこの時点で死んだのか?」
「当装置に記録されている情報を総合しても、その後ミシェル・ロード博士の生存は確認されておりません」
「……そうか」
「何か疑問点がございますでしょうか、Administrator?」
「ミシェル・ロードは、何故甘んじて奴に殺されたのか。記録を総合するに、間違いなくミシェル・ロードは奴が己に殺意を抱いていることを理解していたはずだ。そして、奴が行動する以前に手を打つこともできたはずだ」
「…………」
「や、すまん。別に、お前さんに答えを求めてるわけじゃねえんだ。だから、そんな顔しないでくれ。頼む」
「は、はい。申し訳ありません、Administrator」
「だから謝るのもやめてくれって。やりづれえったらねえ」
「……はい」
「じゃ、もう一つ質問させてくれ。何故、ミシェル・ロードの死以降、奴の視点による記録は残されてねえんだ?」
「お答えします、Administrator。ミシェル・ロード博士殺害の罪によって囚われた後、『彼』は当装置への接続を禁じられました。当装置はロード博士死亡当時《鳥の塔》の公衆網にも接続され、二四時間情報を収集していました。故に、『彼』が必要以上の情報を得ることを、上層が危惧した模様です」
「……なるほど、だから……奴が見ていたはずの『はじまり』も、ここには記録されていないんだな」
「はい。接続解除後、『彼』が生存中に当装置に接続されることはありませんでした。以降の記録は、次のAdministratorが接続されるまで、全て《鳥の塔》から提供された情報と、当時の公衆網で取得できた情報のみで構成されております」
「ま、そりゃそうか。なら、ミシェル・ロード殺しの罪で捕まった後、奴はどうしたんだ? 記録からわかる範囲でいい」
「『彼』は、《森の塔》の監獄に収容されました。《鳥の塔》上層では、『彼』の能力と思想を危険視して死刑を望む声も多く上がりましたが、その後の調査で『彼』を死刑にすることに対する莫大なリスクが明らかになりました」
「リスク?」
「『彼』は、ミシェル・ロード殺害直前に、自分の権限で可能な範囲の、環境改善班の研究成果を、全て虚偽の情報に書き換えていたことが明らかになったのです。それらの正しい情報を網羅しているのは結果的に『彼』ただ一人であり、『彼』を死刑にすることによって、それらの情報が全て失われることを上層部が恐れた模様です」
「情報を盾に取ったのか。奴らしいやり口だな」
「正式な処遇が結局決まらないまま、『彼』は監獄の中で過ごしていました。その間の記録を紐解く限り、『彼』は既に半ば正気を失っており、ほぼ会話が通じなかったそうです。ただし」
「それが演技であった可能性も、否定できない」
「その通りです、Administrator」
「奴がどこまで狂ってたか、今どこまで狂ってるのか……か。難しい問題だな。まともでなかった、というのは俺も同意だが、理性的に狂っちまった奴ほど性質が悪いよな。俺みたいにさ」
「Administrator、あなたが狂気に侵されているとは、思えません」
「狂ってるさ。狂ってなかったら、きっと、ずっと上手く立ち回れた。せめて、一番大切なものだけは、傷つけずに済んだかもしれない」
「…………」
「や、もしもの話はやめようか。俺も奴も、少しばかり足を踏み外しちまった。それだけの話だ」
「……Adminisitrator、質問を許してください」
「構わんよ。何が聞きたい?」
「あなたは、今も『彼』を恨んでいますか?」
「正直に言えば、恨みはとっくに消えちまってる。だからといって、奴もまた被害者だ、なんて言う気もさらさらねえ。奴は俺にとって何処までも加害者だ。ただ」
「ただ?」
「……出会い方が違えば、案外、仲良くなれたかもな」
[Reservoir] exit - N_T_Curtiss(Copy_Personarity) Logged off.