home book_2
chat
シアワセモノマニア
シアワセモノマニア

シアワセモノマニア

ハッピーをお届けする空想娯楽物語屋

No.2344

今CoCキャンペーン『週末は探偵事務所にて』をやってるんだけど、本当にめちゃくちゃ面白くて、話もあと2話ってところでシナリオそのものの全容がうっすら見えてきて、俄然ぴょんぴょんしてたんだけどこの興奮の出所がはっきりとはわかんなくてずっと首をかしげてたんだよね。
こう、庭師の「展開の上手さ」への興奮とか、かいマホの「痛快さ」への興奮とかとはまたちょっと違う、もうちょい深いところでのわくわくうきうきがあって……。
そこでKPまざらしさんが「『喫茶店の隣で話してる、不思議な話』のつもりで回してる」ってお話をしてくださって本当に嬉しかったんだよな~!
なんか、あざらしの水って多分本来的にはそういうとこなんだな、みたいなことを再確認できたというか。
決して何もかもが傍目から見てドラマティックなわけじゃない、でもその人にとっては重大事であって、故にこそそれの重大さは当人にしかわかんないんだけど、「だからこそ」他者の介入によってささやかな風穴があく瞬間、みたいなやつが大好きなんだよなあ……。
比較的あざらしが「渦中の人」より「周縁の人」のお話ばかりを書いてるというのは、そういうところもある。
で、『週末は探偵事務所にて』っていうシナリオは、その日常の中に生きてる一人ひとりの「ひとり」として、自分でもなんらかを追い求めながら時に他者に関わって少しずつお互いに影響を及ぼす、その「ささやかな風穴」の気持ちよさをすごいよくわかってるシナリオって感じでそこが超お気に入りなんだよなぁ~!!!

以下はちょっとネタバレなので伏せるとして。
そもそも『週末は探偵事務所にて』って、何かよくわかんない理由で「週末探偵事務所」っていう胡散臭い事務所に集った、「週末だけ探偵をしている」四人のお話。
それぞれには一応そこにいる何らかの理由があるにはあって、ただその理由の一つを受け取ったとき(つまりは秘匿HOのこと)、あざらしはまず「?」って思ったんだよな。
本当にストレートに言うなら「この程度の理由?」みたいな気持ちになった、というか……。それこそ「秘匿である理由」があんまり感じられなかったというか(実際、秘匿を必ずしも維持しなくていいって但し書きはあるし、あざらしHO2のヒカルは最初の方からちょこちょこ小出しにはしていた)。
でも、これは要するにシナリオの扱うトーンが「そういうものだ」っていうのを示してくれる指針だったのだな、ってシナリオの全容が見えてきた今になってやっとはっきりしたっていうか……!
あざらしはこう、今まで結構スペクタクルなタイプの秘匿CoCをいくつかやってきたし、その他のシステムでもあんまり「日常と直接的に地続き」の感じの話はあんまりやってこなかったわけで……。バトル系のシステムを通ってきたからね。
インセインはちょっと別だけど、あれはシステムそのものがシステマチックなのもあってその辺り丁寧に描くのには場の全員が意識しないと難しい、みたいなのがあり。
このシナリオはその辺りの匙加減が、本当に、本当に絶妙ですごい。人々が暮らしている街のリアルさと、でもそこで起きる小さな事件や不可解の感じ、少しだけ介入することができる「探偵」という立場。
時には痛快さもあり、時にはやるせなさもあり、力不足を感じることだってあり、でもそれらすべてが何らかの「変化」と結びついていて決して「停滞」にはなってない手ごたえがちゃんとある。
何というかあの街に生きてる彼ら(PCだけじゃなくてNPCたちも含め)の人生そのものにシナリオからの祝福を感じる……っていうかねぇ!

ヒカルも最初はその辺りの「物語のトーン」をなかなか把握できなくて秘匿も含めたキャラの方向性に苦戦してたんだけど、でも3話のヒカルの選択(あれマジで即断だった)と今回4話のやり取りを経て、人生を祝福されたことがあるひとである、っていうことを胸に前向きに生きてるな、っていうのを……感じる!
家族が消えてから10年、しかも26歳の10年ってめちゃくちゃ長いと思うんだよな。物心ついてからの人生の半分くらいを費やして父親の行方を捜してたひと、なんだよな。絶対に見つけてやる、って気持ちを胸に、心から頼れるものもない人生をがむしゃらに生きてたひと。
そりゃ得意技能に〈追跡〉を掲げられるし、本来「単にコンピューターを使ってるだけ」なら伸びないはずの〈コンピューター〉がクソ高くもなる。
ただ、多分3話の決断の時点では深く考えてなかったと思うんだけど(あれはマジで考えてる場合じゃなかった)、4話で正記さんの記憶を戻すこと、それに伴うあれこれに触れたときに、ヒカルは正記さんに重ねる形で、おそらく初めて「がむしゃらに走ってきた己の人生」を振り返ったんだよなぁ……。
そして、ヒカルの口から「それだけじゃなかったじゃん」って言葉がするっと出てきたことに「ああ~」ってあざらし自身が思ったのだよな。
何か、振り返ることができて、自分の人生を意識的にも肯定できたことでヒカルっていうひとの輪郭がちゃんとプレイヤーのあざらしにも理解できた気配があって、よかった……。その手ごたえがちゃんと持てた、ってのも興奮の要因なのはある。
結構ヒカルはあざらしのキャラにしてはあっけらかんとしているというか、秩序寄りのハルくんがいてくれるおかげで無邪気に本音を振り回せてるところがあり、なんかそれもあって少しいつもとポジションが違って面白いな~って思ってるかも。
ただその無邪気さがいつまで続くかな……みたいな情報になってるけど、けどね! でも自分が捜してた父親とずっと一緒にいたアキくんに嫉妬するでもなく「ありがとう」って言っちゃう人なので何か根本的にそのラインはブレないような気がする。
むしろその無邪気さでハルくん辺りとバチバチする可能性はあるな……ってちょっと思ってるけど。ハルくん、絶妙に今回の話に噛んでなかったのが逆に怖いんだよぉ。VSよるこさん……あるか!?
畳む


とにかく何か「日常を暮らしてる人々」の手触りが本当に嬉しいシナリオなので、もっと回ってくれると嬉しいな、キャンペーンで全六話なのでかなり分量的には重たいシナリオではあるんだけど……w

創作,遊び